美空ひばり全曲集 川の流れのように

美空ひばり 美空ひばり全曲集 川の流れのように歌詞
1.リンゴ追分

作詞:小沢不二夫
作曲:米山正夫

リンゴの花びらが 風に散ったよな
月夜に月夜に そっと え―――
つがる娘は ないたとさ
つらい別れを ないたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――

お岩木山のてっぺんを
綿みてえな白い雲が
ポッカリポッカリながれてゆき
桃の花が咲き さくらが咲き
そっから早咲きの、リンゴの花ッコが咲くころは
おらだちのいちばんたのしい季節だなや―
だども じっぱり無情の雨こさふって
白い花びらを散らすころ
おら あのころ東京さで死んだ
お母ちゃんのことを思い出して
おら おら……

津軽娘は 泣いたとさ
つらい別れを 泣いたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――


2.お祭りマンボ

作詞:原六朗
作曲:原六朗

私のとなりのおじさんは
神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子
お祭りさわぎが大好きで
ねじりはちまき そろいのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おみこしかついで
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
景気をつけろ 塩まいておくれ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

おじさんおじさん大変だ
どこかで半鐘が なっている
火事は近いよ スリバンだ
何をいっても ワッショイショイ
何をきいても ワッショイショイ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

そのまた隣の おばさんは
浅草育ちで チョッピリ美人で
お祭りさわぎが 大好きで
意気な素足に しぼりのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おかぐら見物
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
おかめと鬼が
ハンニャとヒョットコが
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
ソーレ ソレソレ お祭りだ

おばさんおばさん 大変だ
おうちは留守だよ からっぽだ
こっそり空巣が ねらってる
何をいっても ピーヒャラヒャ
何をきいても テンツクツ
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
ソーレ ソレソレ お祭りだ

お祭りすんで 日が暮れて
つめたい風の 吹く夜は
家を焼かれた おじさんと
ヘソクリとられた おばさんの
ほんにせつない ためいきばかり
いくら泣いても かえらない
いくら泣いても あとの祭りよ


3.津軽のふるさと

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

りんごのふるさとは
北国の果て
うらうらと 山肌に
抱(いだ)かれて 夢を見た
あの頃の想い出 あゝ
今いずこに
りんごのふるさとは
北国の果て

りんごのふるさとは
雪国の果て
晴れた日は 晴れた日は
船がゆく 日本海
海のいろは 碧く あゝ
夢は遠く
りんごのふるさとは
雪国の果て
あゝ津軽の海よ山よ
いつの日もなつかし
津軽のふるさと


4.日和下駄

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

日和下駄 日和下駄
何処へ行きゃるか
露地のほそみち カラコロと
通りがけかよ カラコロと
下駄をならして
思わせぶりな 思わせぶりな
わたしゃ ちょっくら願かけに
観音様へ 願かけに
今日は縁日 御命日
ねがいをかなえて
下しゃんせ 下しゃんせ
お待ちなさい お待ちなさい
それじゃ私も
そこまで一緒に 参りましょう
ついでに拝んで 参りましょう
いわしの頭も
信心からだよ 信心からだよ
春は日和よ 花なら見頃
チョイト見交す 顔と顔
何故か気になる エーあの素振り
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラコロ
おっと危ない そこは水溜り

日和下駄 日和下駄
おっとしまった
赤い鼻緒が 切れました
どうぞわたしに つかまって
二人一緒に
お詣りしましょ お詣りしましょ
いえいえそれじゃ はずかしい
人目もあろうと 言うものよ
どうぞわたしに かまわずに
一と足お先へ
行かしゃんせ 行かしゃんせ
何としょう 何としょう
それじゃ私が
鼻緒を立てて 上げましょう
古い鼻緒は お捨てなさい
切れた鼻緒は
縁起がわるいよ 縁起がわるいよ
春は日長よ 御縁日ゃ遠い
チョイトはずかし 肩と肩
いつか物言う エー眼差しが
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラコロ
おっと危ない 横丁の黒犬よ


5.哀愁出船

作詞:菅野小穂子
作曲:遠藤実

遠く別れて 泣くことよりも
いっそ死にたい この恋と
うしろ髪ひく 哀愁出船
涙かみしめ ゆく潮路

こんな冷たい あなたのしうち
それがうらめぬ あたしなの
霧笛一声 哀愁出船
つきぬ思い出 波に散る

そうよいつかは 判ってくれる
せめて儚い 空だのみ
別れおしんで 哀愁出船
涙堪えて みる潮路


6.柔

作詞:関沢新一
作曲:古賀政男

勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を
一生一度を 待っている

人は人なり のぞみもあるが
捨てて立つ瀬を 越えもする
せめて今宵は 人間らしく
恋の涙を
恋の涙を 噛みしめる

口で言うより 手の方が早い
馬鹿を相手の 時じゃない
行くも住(とま)るも 座るもふすも
柔一すじ
柔一すじ 夜が明ける


7.悲しい酒(セリフ入り)

作詞:石本美由起
作曲:古賀政男

ひとり酒場で 飲む酒は
別れ涙の 味がする
飲んで棄てたい 面影が
飲めばグラスに また浮かぶ

「ああ 別れた あとの心残りよ
未練なのね あの人の面影
淋しさを忘れるために
飲んでいるのに
酒は今夜も私を悲しくさせる
酒よどうして どうして
あの人を
あきらめたらいいの
あきらめたらいいの」

酒よこころが あるならば
胸の悩みを 消してくれ
酔えば悲しく なる酒を
飲んで泣くのも 恋のため

一人ぼっちが 好きだよと
言った心の 裏で泣く
好きで添えない 人の世を
泣いて怨んで 夜が更ける


8.熱祷(いのり)

作詞:川内康範
作曲:小野透

愛しいあなたよ
わたしが死んだら なきがらを
誰にも指を ふれさせず
頬にくちづけ してほしい
それがわたしの しあわせなのよ

(セリフ)あなた私は幸せ
こんなにしていただいて
何一つお返し出来ない私を お許しになって
でも私は あなたの胸の中で
きっとあなたを お守りしています
いつまでも いつまでも

愛しいあなたよ
わたしが死んでも 泣かないで
この世にうすい 命でも
恋に燃えたわ かぎりなく
それがわたしの しあわせなのよ


9.人恋酒

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

人に教わる こともなく
いつかおぼえた 酒の味
生きてくつらさ 心の傷を
酔ってわすれる 裏通り
酒よ 今夜も
おまえと さしむかい

人に踏まれて 泣きもした
恋にいのちを 賭けもした
忘れたはずの 面影ひとつ
おもいださせる 通り雨
酒よ 今夜も
おまえと さしむかい

人が恋しく 飲む酒か
夢がほしくて 飲む酒か
沈むも浮くも 人の世ならば
悔いを残さず 歩きたい
酒よ 今夜も
おまえと さしむかい


10.残侠子守唄

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也

今日日(きょうび)「寄らば大樹の陰」とかいう言葉が
巾をきかせているようでございます。
楽をしようとする心が、人間を
だめにするのじゃないでしょうか。

北の風吹きゃ北をむき
西の風吹きゃ西をむく
男の意地は どこにある
浮いた世間に 媚をうる
めだかみたいな奴ばかり

時の流れとでもいうのでしょうか。
自分さえよければという手合いが多すぎます。
まっとうに生きようとすればするほど
住みにくい世の中になったものでございます。

声の大きい奴だけが
勝って得する世の中さ
男の道は 暗すぎる
どちら向いても 闇ばかり
どこに実のなる花がある

どこもかしこも、
すっかり狂ってしまったようでございます。
と、申しましても、夜毎酒に溺れる私も、
決して、まともな人間じゃございません。

すねに傷持つこのおれにゃ
まぶしすぎます お日様が
男の酒の ほろ苦さ
明日は どの色咲こうとも
おれは生きたい おれの道


11.龍馬残影

作詞:吉岡治
作曲:市川昭介

風が舞うのか お龍(りょう)の声か
頬をたたいた 京しぐれ
夢のつづきが あるならば
おまえと見たい 最後まで
龍馬血染めの 龍馬血染めの 夢が哭く

馬鹿が無用の 剣ぬいて
それで日本が 拓けるか
話してわかる 刺客(やつ)ではないが
まことこの世は ままならぬ
浮いて漂よう 高瀬船

土佐の高知の はりまや橋で
坊さんかんざし 買うをみた
ヨサコイ ヨサコイ……

維新回天 命を賭けて
散って実のなる 華もある
荒れて吠えるな 土佐の海
明日は七つの 海越えて
龍馬夜明けの 龍馬夜明けの 天を征く


12.愛燦燦

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

雨 潸々(さんさん)と この身に落ちて
わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして
人は哀しい 哀しいものですね

それでも過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね

風 散々(さんざん)と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を 失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね

それでも未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね

愛 燦々(さんさん)と この身に降って
心秘そかな嬉し涙を 流したりして
人はかわいい かわいいものですね

ああ 過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね

ああ 未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね


13.みだれ髪

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

髪のみだれに 手をやれば
赤い蹴出(けだ)しが 風に舞う
憎くや 恋しや 塩屋の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる

すてたお方の しあわせを
祈る女の 性(さが)かなし
辛(つ)らや 重たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網(あみ)の
舟にのせたい この片情(かたなさ)け

春は二重(ふたえ)に 巻いた帯
三重(みえ)に巻いても 余(あま)る秋
暗(くら)や 涯てなや 塩屋の岬
見えぬ心を 照らしておくれ
ひとりぼっちに しないでおくれ


14.川の流れのように

作詞:秋元康
作曲:見岳章

知らず知らず 歩いて来た
細く長い この道
振り返れば 遥か遠く
故郷が見える
でこぼこ道や
曲がりくねった道
地図さえない
それもまた人生
ああ 川の流れのように
ゆるやかに
いくつも 時代は過ぎて
ああ 川の流れのように
とめどなく
空が黄昏に 染まるだけ

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢探しながら
雨に降られて
ぬかるんだ道でも
いつかは また
晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
移りゆく
季節 雪どけを待ちながら

ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
いつまでも
青いせせらぎを 聞きながら